オープニングは、『Ain't She Sweet』と『Besame Mucho』でテンポよく幕開け。
「今日はビートルズのデビュー前のめずらしいナンバーとか、リヴァプールサウンドとか、普段聴けないナンバーを何曲かレパートリーに入れてみました。最初に演ったのが『Ain't She Sweet』。ビートルズがトニー・シェリダンのバックをやっていた時にレコーディングした中の1曲です。」とチャッピーさん。
ビートルズは、1961年6月22日にハンブルグでトニー・シェリダンとセッションし、レコーディングを行った。
「ビートルズが歌ったのはこの1曲だけです。有名になったのは『My Bonnie』ですが、これはビートルズがトニー・シェリダンのバックで演奏しています。でも『Ain't She Sweet』はジョンが歌っています。その次は、『Besame Mucho』。これはラテンの曲で、なんでロックンロールバンドのビートルズがやるんだってところが面白いところですね。ポールがこういうのが好きだったみたいですね。」
3曲目『Take Good Care Of My Baby』を紹介する時に「今日、いいですね、キミの格好。カッコいいね。新入社員みたい。」とバンビーノさんの衣装を誉めるチャッピーさん。
ネクタイにベスト姿で、当時のリヴァプール・サウンド・バンドを彷彿とさせる。ゴードンさんもベストを着用しており、ふたりは自らを『チョッキーズ』と命名していた。
「『Take Good Care Of My Baby』は、デッカのオーディションで歌ったんですね。でも、ビートルズは見事にこのオーディションを落とされました。その後、当時のデッカの重役はみんなクビになったそうです。」とチャッピーさん。
1962年1月1日、ロンドン北部のデッカ・スタジオでビートルズはオーディションを受け、この曲をはじめ15曲を演奏した。元旦にオーディション?と疑問に思うところだが、当時は元旦が公休日なのは、スコットランドだけだった。
「これは、キャロル・キングのナンバーで、他にもすばらしい曲がたくさんあります。ロコモーションとか、ビートルズのナンバーで言えば、チェインズとか。」とバンビーノさん。
「次は5曲目。ビートルズがセカンド・シングルで出す予定だった『How Do You Do It』という曲です。ジョージ・マーティンが持ってきて、これをセカンド・シングルにしようと、半分話は決まっていたんですが、ジョンが直前に『Please Please Me』を持ってきて、これはどうだろうって。でも、プロデューサーがこれじゃあだめだよって言ったんですよね?」とゴードンさん。
「そうそう、テンポが遅かったんですね。で、結局テンポアップして、ふき込んだら、まぁこれでいいんじゃないかと。で、この『How Do You Do It』は、ゲリー・アンド・ペースメイカーズにあげるわけですね。で、彼らが歌って、やっぱりイギリスで第一位になるんですね。もし、ビートルズがセカンド・シングルとしてこの曲を出していたら、(ビートルズは)その後消えていったんじゃないかとまで言われた曲です。ゲリー・アンド・ペースメイカーズはもっと大げさに歌っていますね。でも、どっちにしても、かわいらしいいい曲ですね。」とチャッピーさん。
次は、イベントでも何回もやっている、バンビーノさんのお気に入りのナンバー、『Glad All Over』。
演奏後、チャッピーさんが、「間違ってたらすみません。途中で『チッチキチィ』っていう風に聞こえました(笑)。」と。
それに対してバンビーノさんは、「言うてません。聞き間違いです。絶対に言ってません。でも、この曲は聞こえますね。」と強く否定。
「それじゃあここで珍しい曲を。ビートルズと言うと、誰かが歌ってますよね。でも歌ってない曲もあるんです。インストゥルメンタル。ジョージとジョンのふたりで初期に作ったんです。当時、シャドウズというグループがすごく人気があって。オレたちの方が上手いんだと、シャドウズに涙する、みたいな感じで題名をつけたナンバーがあります。『Cry For A Shadow』。アマチュア・バンドみたいなノリがいいんですよね。若い、ピュアな感じで。」
「次は、そのビートルズのライバルだったシャドウズの曲をやってみようと。聴けば、皆さんあったかい気持ちになれると思います。」とチャッピーさんが『Spring Is Nearly Here』を紹介。
シャドウズは、イギリスのベンチャーズのような位置づけで、この曲は1962年に日本のみで大ヒットし、日本のエレキバンドがこぞって演奏した。
「続いては、12弦のギターを使うわけですが、これは面白いです。ビートルズが作ってビリー・J・クレーマー・アンド・ダコタスにあげたというナンバーがいっぱいあるわけですが、その中でもいいナンバーです。僕も大好きなナンバーです。」と『I'll Keep You Satisfied』を紹介するチャッピーさん。
「ビートルズの未発表音源を聴きたかったら、ビリー・J・クレーマーを聴けって言われますからね。」とバンビーノさん。
演奏後、「いいですね。ビートルズの初期の感じですよね。このグループ、一番ビートルズから曲をもらってるんですよね。一番可愛がられてた。」とゴードンさん
「同じ事務所ですね。これ歌ってるヒトと、僕、会ってます。リヴァプールで、ぽんぽんと肩叩かれて。背の高い甘いマスクの男性が、オレがビリー・J・クレーマーだって!握手してもらって。」とチャッピーさんならではのエピソードをさらっと紹介してくれた。
「次はフミヤ松山が歌います!」と、『World Without Love』を紹介するゴードンさん。「年に1回か2回しか歌いませんので、上手く歌えるかわかりませんが。僕は、この曲でオルガン(の音)を知ったんです。ヴォックスのジャガーというオルガン(vox jaguar organ)でソロを弾いているらしいです。古くさい音が鳴るんですけど。」とフミヤさん。