Abbey Road Live Performance of The Beatles' Music

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2007年7月28日・29日、英国マンチェスターで行われた“Arctic Monkeys"のギグに参加した「The Parrots」。
公演を見に行かれたファンの「K.M」さんの『ギグ(ライヴ)・レポート』、
そして、同行したスタッフによる『旅日記』。
ふたつのレポートをお楽しみ下さい。



パロッツ・ファンのK.Mさんが、ギグのレポートを書いて下さいました!

The Parrots @ Lancashire County Cricket Ground / July 28th & 29th, 2007

 前日のシャワー(※雨)でグラウンドがぬかるみ、ビニールシートが敷きつめられている。
ここマンチェスター市内のオールドトラフォードに位置するランカシャー・カウンティ・クリケット・グラウンド。かの有名なサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドのホームグラウンドからも程近い5万人収容のこのクリケット場にて、イギリスの人気ロックバンド、Arctic Monkeysのオールドトラフォード・ギグが2日間にわたって開催され、我らがパロッツはサポートアクトとして、両日ともギグのオープニングを飾った。

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7月28日(土) 晴れ時々曇り >

 いったん曇ると長袖が必要なくらい寒いのに、日射しが照り付けているエリアはとにかく暑い。日焼け止めクリームを塗ってもほとんど効果がなさそうだ。
 開門時間は午後2時。開門前からグラウンド周辺では大勢の若者達がアルコール類を片手にドンチャン騒ぎを繰り広げており、彼らの若さと熱気がムンムン伝わってくる。そこら中でダフ屋が「チケットを買わないか?」と話しかけてくる。
メイン・エントランス脇のチケット・ブースでチケットを受け取り、開門を待つ。すでに長い行列だ。オープニングのパロッツからトリ(※最後の出演)のArctic Monkeysの演奏まで5時間もあり、どれだけ多くの観客が最初から来るか若干不安があったが、この大衆を見る限り全く問題なさそうだ。それどころか、これだけの大衆がパロッツのステージを見るのかと思うとワクワクする。いつの間にか興奮した一集団から「ヨークシャー!」の掛け声があがる。思わずサッカーのフーリガンを連想する。

 さあ開門だ。入口でチケットのチェックをし、「Cheers!」と声をかけてくれる警備員。人ごみを掻き分けて早足で入場すると、公式グッズや食べ物・飲み物を販売する出店がずらりと並び、はるか前方に大きくそびえたつステージ。
「あれか、あそこで演奏するんだ!」とステージ目指して進んでいくと、ステージの右側にある建物の上方バルコニーから見覚えのある顔が見える。パロッツだ!ステージの方をじっと見ている。どれだけ大勢の人が入るのか、観察しているのだろうか。日本からの同行のアビー・ロードの社長とスタッフの姿も見える。控室だろうか(後にVIP Roomと判明)。建物の下まで駆け寄り、「頑張って!」と声をかける。皆手を振ってくれたり、ゴーサインをしてくれたり。心なしか緊張しているようにも見えるが、皆笑顔でとりあえず安心する。
 同行日本人スタッフから、本来はスタンド席だがアリーナへの入場も可能と言われていたので、その入口へ向かう。アリーナへ入れた友人もいたが、大雑把ながらも警備員が人数制限をしていたようで、自分の場合はあと一息というところで入口がクローズされてしまった。
仕方なくゴードンさん側(※ステージ向かって左)のスタンド席エリアの一番前に移動。その後友人2名が合流し、3人でパロッツの出番を待つ。アリーナとスタンド席との間には警備員が立つスペースが設けてあり若干の段差もあったため、意外にステージがよく見える。

 3時30分。待ちに待った瞬間がやってきた。司会者がステージに登場し歓声があがる。
「ハロー、マンチェスター、今夜の調子はどうだい?ようやく天気も良くなってお楽しみの時がやってきた。Arctic Monkeys始め今日のステージはちょっとした見物だぜ。思いっきりロックしようぜ!さて、今日最初に演奏してくれるのは、はるばる日本の東京からやってきたパロッツだ!」(かなり意訳です)
 大歓声があがる。さっそくパロッツコールも!そして、ターコイズ色のステージ衣装を身にまとったパロッツがステージに現れ、手をあげて会場の歓声に応える。ステージ上部両端に巨大スクリーンが設置されていて、メンバーの姿が大きく映し出される。


 初日の記念すべきオープニングは『Day Tripper』。出だしのリフが始まると歓声がひときわ高まり、手拍子が始まる。サビの「She was a day tripper, One way ticket yeah!」を皆大声で歌う。2曲目は『Rain』。全く緊張している様子がなく、いつも通りの演奏だ。2曲目が終わるとチャッピーさんのMC。
「こんにちは!パロッツです。東京から来ました。ステージを楽しんでいってください。次の曲は、Nowhere Man・・・」
と思いきや、始まったのは何故か『All My Loving』。「Nowhere Manじゃないの?」と言いつつも、気を取り直し手拍子開始。4曲目、今度こそ『Nowhere Man』。ハモリもバッチリ。このハモリの美しさがパロッツの強みのひとつだ。
 次にバンビーノさんが一言、「Taxman!」と曲を紹介し、チャッピーさんのカウントから『Taxman』そして『Come Together』へと続く。このあたりの選曲はイギリス人の好みにヒットしたようで、観客が一緒に歌いだす。サビの「Come together right now over me」では拳をあげたり一緒に叫ぶ人、多数。チャッピーさんも観客に向かって「一緒に歌って!」とジェスチャー。
 7曲目はフミヤさんの軽快なブラスで始まる『Got To Get Into My Life』。演奏中、バンビーノさんがチャッピーさんに歩みより、何やら話しかけて二人で笑っている。歌い終わったゴードンさんの「Ringo!」の一声で、8曲目『Act Naturally』を演奏。カントリー調のほのぼのとした曲調はトーマスさんのイメージにピッタリ。
 その後は、再びアップテンポの『Hey Bulldog』、パロッツファンに人気のあるナンバーだ。続いて『Back In The USSR』。Bulldogではチャッピーさんおなじみの拳ポーズもちゃんと見られ、USSRでは松葉杖の女の人がノリノリで踊っていて、大丈夫なの?と思いつつも感心してしまう。1曲1曲終了後に拍手喝采!ここまでくると、確実にパロッツの演奏が観客の心を捉えているのを感じることができる。
 ここでチャッピーさんの「みんな、楽しんでるかい?」の問いかけに「Yeah!!!」と応える観客。「次はラブ・ソングです。」の紹介で、11曲目はジョージ・ハリスン不朽の名曲『Something』。バンビーノさんの横顔やギタープレイが巨大スクリーンに映し出され、しっとりと演奏される。ここでも「I don't know, I don't know」のフレーズの大合唱(しっとりじゃないじゃん・・・)。
 12曲目は『Revolution』。ゴードンさんに代わってバンビーノさんが絶叫担当・・・ずいぶん板についてきたようだ(笑)。(※イントロ部でのシャウトはパロッツでは普段ゴードンが担当)再び観客が盛り上がり、13曲目、「Rock'n'Roll!」
ゴードンさんの一声で『I'm Down』が始まり、更にテンションがあがる。
 チャッピーさんの「最後の曲は『Twist And Shout』!」のセリフに初日ラスト・ナンバーの演奏が始まる。手を振り頭を振り、ノリノリでツイストを踊りシャウトする観客。チャッピーさんがもっともっと!と両手をあげて催促。まさにステージと観客が一体になったところで、40分に渡る演奏が終了。湧き上がる歓声、空に突き出る沢山の拳、「パロッツ!」の声援、「We want more!」のアンコール・コール。大きな拍手と喚声で演奏を称える観客に手をあげて応えながらステージを去るパロッツのメンバー。一瞬にも永遠にも思えた素晴らしい40分であった。


< 7月29日(日)快晴 >

 昨日よりも更に日射しが照りつける暑い日となった。そして早い時間から初日をはるかに上回る人の入り。ビール入りの紙コップを手に、誰もがステージへ向かって小走りしている。ものすごい勢いでアリーナが人で埋まっていく。
 今日もアリーナ入りを試みるも「オレンジのリストバンドをしている人以外は立ち入り禁止」との理由でやはり入れず。
 昨日わかったことだが、ゲストのステイタスに応じてリストバンドの色が分かれており
色によって特定のエリアへの入場を許されたり、逆に禁じられたりするのだ。
 今日は昨日と場所を変更してチャッピーさん、フミヤさんサイドのスタンド席エリアへ。(※ステージ向かって右側)パロッツの登場を待つ。ものすごい日射しの強さに肌が焼けるようだ。熱くて露出しているのが辛い。なんとか体勢を整えたところで司会者の登場だ。

 「今日最初のバンドは、はるばる日本から来てくれたんだ。彼らは真のビートルズ・バンドだよ、ちょっとだけ小柄だけどね。大大大歓迎してくれ、パロッツだ!」
 さあ、再びパロッツの登場だ。
何だか今日は余裕の表情のパロッツ。ゴードンさんが客席に向かって投げキッスをし、「Hello!」と挨拶。

 今日のオープニングは『Drive My Car』。スペインでのLiveパーティーでもご披露したというパロッツお得意のナンバーだ。2曲目は『Rain』。ここでチャッピーさんが昨日と同様に挨拶を。3曲目の『I Feel Fine』では観客も一緒に手拍子をし始める。彼らは我々と違って手拍子をあまりしないので、ちょっと嬉しい。
 ゴードンさんの威勢のいいカウントから4曲目の『I Saw Her Standing There』が始まると、皆ノリノリ。この曲は好きな人が多いのだろうか、大勢の人が大声で歌っている。
 5曲目の『Taxman』から『Come Together』へ続くくだりは昨日と同じ。今日もこの2曲は受けがいい。
7曲目はトーマスさんの巧みなドラムが際立つ『Day Tripper』。湧き上がる歓声。8曲目はRingoのナンバー、昨日の『Act Naturally』を『I Wanna Be Your Man』に変えてきた。演奏して欲しい!と思っていたナンバーが聞けて思わずニヤリ。実は前の晩、友人達と「カントリー調のナンバーはあまり受けない感じだったね。明日はI Wanna Be Your Manあたりに変えて欲しいな」と話していたところだったのだ。
(後で聞いた話では、パロッツも同様に感じたようで曲を変更したらしい。ミュージシャンとしては当然のことなのかもしれないが、あのような大舞台でも彼らが冷静に客の反応を観察していることに感心してしまった。)読みがあたって反応は上々。
トーマスさんもリラックスした表情。唯一残念だったのは、チャッピーさんとゴードンさんのワンマイクがなかったこと。あれはやって欲しかったけど、ステージがあまりに広いので移動はあきらめたのか(笑)。

 9曲目『Hey Bulldog』〜10曲目『Back In The USSR』〜11曲目『Something』。チャッピーさんのノリもいいが、今日はとにかく観客のノリがいい。唯一のバラード、Somethingでは両手を空にあげスローテンポのリズムに合わせて身体を揺らしている人も。個人的にはバンビーノさんにジョージ訛りでMCをして欲しかったな。

 いよいよ終盤だ。12曲目、初日よりも激しいバンビーノさんの雄叫びで始まる『Revolution』では、チャッピーさんの「All right!」のシャウトが、これでもかと言わんばかりに強烈なインパクトを与える。
 「あと2曲!」チャッピーさんの声に続き、13曲目『I'm Down』。今日はゴードンさんの声がよく出ている!観客へのアピールは十分だったと思う。そして、フミヤさんお得意のひじ弾き。(※ビートルズのLiveでKeyboardを担当していたジョンが行った“ひじ弾き")キーボードも「もっとスクリーンに映して!」と願うくらい、とても良かった。それでも初日よりは露出度が多かったように思う。フミヤさんにステージ終了後、感想を聞いたところ「全然緊張しなかった。楽しかったよ。」と言っていたが、ステージの間中終始笑顔で、楽しそうに演奏している姿がとても印象的だった。

 とうとうラストだ。2日間のギグのパロッツのエンディングは、チャッピーさんリード・ボーカルの気迫溢れる『Money』。力強いピアノのイントロが流れて思わず絶叫!素晴らしかったステージへの感動、十分楽しんだ充足感、これで終わりだ、という一抹の寂しさ・・・そんな思いを全て手拍子にこめる。
 隣の女の子が我々の手拍子を見て、一生懸命真似てくれる。一緒にのってくれてありがとう!今日この場に集まってくれてありがとう!

 大声援と拍手喝采を浴びつつステージを去るパロッツを見つめながら、観客のひとりひとりに感謝したい気持ちで、2日間通ったスタジアムを後にした。
パロッツの魅力が十二分に発揮されたステージ・・・ マンチェスターの、イギリスの人々はどう感じてくれただろうか。少なくとも、日本を代表するビートルズ・トリビュート・バンドとしてその名を、その存在を知らしめたことは間違いないはずだ。
 世界規模のステージで、彼らの活躍が再び見られる日もそう遠くはないと信じている。


レポート/K.M
 (※若干の加筆割愛修正/Abbey Road)